わが国の児童福祉の基本である「児童福祉法」は、戦後、困窮する児童保護、救済とともに、次代を担う児童の健全な育成を図るため、昭和22(1947)年に制定されました。
児童福祉法は、「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない」(第1条第1項)、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」(第1条第2項)ことが規定され、その時々の社会のニーズに合わせてこれまで改正を繰り返しながらも、現在まで児童福祉の基盤として位置づけられてきました。さまざまな問題から家庭で暮らすことのできない児童等への施設サービスや、保育所における保育サービス、障害児に対する在宅・施設サービス等が実施されている他、少子化の一層の進行や、児童虐待といった新たな課題に対応すべく施策の充実が図られているところです。
近年児童と子育て家庭をめぐる社会環境は大きく変化しています。児童や家庭をめぐる課題は複雑化し深刻化しているため虐待を受けた児童など、保護者による適切な養育を受けられない児童がいま増加傾向にあります。また、虐待相談対応件数は年々増加し、子どもの尊い命が失われる事例も多く発生しております。児童にとって安心できる養育環境を保障するためには、「子どもは地域社会の中で育つ」という認識のもと、社会的に児童を養育し保護する「社会的養護」の意義と重要性が高まっています。こうした状況のなか、児童を中心に据えつつ、子育て家庭を社会全体で支えていく「児童家庭福祉」の観点から、地域のあらゆる関係機関の連携、協働を強化し、施策を充実させていく必要があると考えます。
なかでも、児童のいのちを守る最後の砦として、社会的養護施設である自立援助ホームの役割がますます重要となっていくと思われます。
いづれにしても「自立を助ける」の一環した福祉理念を貫いて参りました当法人も志から早15年の歴史が経とうとしています。
すべての児童を社会全体で育む」という理念のもと、社会的養護が必要な児童に対する取り組みの一部でも担っていくことのできる存在となりたいと望んでおります。子供達の持っている優れた長所を磨きその子の力が世の中で用いられるようなそんな人格形成ができるよう努力をしなければと考えています。今後ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。